学外教育研究拠点

長崎大学富岡町復興推進拠点
 富岡町は、平成23年3月11日の東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所事故によって、地震、津波、原子力災害という3つの災害を同時に体験し、全町避難を余儀なくされました。
 事故後、富岡町は除染をはじめとする復旧作業を着実に行い、原発事故から6年後の平成29年4月の帰還を開始しました。しかしながら事前の意向調査では、帰還を希望する住民は住民13,900人あまりのうち13.9%、特に10~20代では5.4%と、若い世代で帰還の意向を示す住民の割合が低くなっています。これは種々の社会的背景に加えて、放射線被ばくに対する不安も多分に影響していると考えられます。町は現在、本格復興のスタートをきるための基盤づくりを進めており、その中でも放射線量の検査などによる安全・安心の担保が重要な課題となっています。
 長崎大学は平成25年4月に、富岡町に隣接する川内村と包括連携協定を締結し、村内に拠点(サテライトオフィス)を設置して保健師・看護師が常駐し、住民の外部被ばく線量や内部被ばく線量の測定・評価から、それらの測定結果をもとにした、個々人の状況に合わせたリスクコミュニケーション活動を行ってきました。その活動は、「住民、行政と専門家が一体となった原子力災害からの復興モデルケース」として、国内外から評価されています。さらに平成26年5月には福島未来創造支援研究センターを創設し、全学を挙げて福島復興と再生に様々な取り組みを実施しています。
国立大学法人長崎大学と富岡町との包括連携に関する協定締結式
 今後、富岡町が住民の帰還を進めるなかで、長崎大学がこれまで川内村で培ってきた経験を活かし、専門的観点から富岡町の復興と活性化に資するため、富岡町と長崎大学が緊密な連携・協力を図ることを目的とする協定を締結し、富岡町健康福祉課内に長崎大学サテライトオフィスを設置しました。本協定では、(1)環境放射能評価や個人被ばく線量の測定を通じた、外部被ばく線量の評価に関すること、(2)食品等の放射性物質測定を通じた、内部被ばく線量の評価に関すること、(3)前二号を基にした健康相談や講演活動等を通じた住民の健康管理、安全・安心の担保に関すること、そして(4)その他本協定の目的を達成するために必要な事項、について長崎大学と富岡町が連係し協力することが記されています。