セミナー放射線医療国際コンソーシアムセミナー

 
放射線医学総合研究所 第5回放射線安全研究センターシンポジウム
http://www.nirs.go.jp/news/event/2005/12_01.shtml

放射線影響研究及び被ばく治療のキープレイヤー:
幹細胞―放射線影響研究への展開の可能性を模索する

再生、発癌などさまざまな分野で個体に対する影響において「幹細胞」が果たす中心的役割がこれまで多くの研究で示唆されてきました。同時に癌や被ばく治療などへの直接的関与からも放射線科学領域における幹細胞の理解と応用はますます重要になってきています。 

近年、組織幹細胞、胚性幹細胞などの存在が相次いで確認され、その維持機構の分子レベルでの理解が劇的に進んでまいりました。また羊のドリーに代表される、核の初期化、即ち、分化した細胞の核を幹細胞核へ逆戻りさせられるという驚くべき事実は、拒絶反応のない幹細胞再生治療を予感させるものであり、新しい流れが始まったことを示していました。

今回のシンポジウムでは、幹細胞研究の専門家に、短期影響と中・長期影響を論じていただき、更に幹細胞の最新の研究を、機構解明および治療への展開という視点から紹介していただきます。
その上で、幹細胞科学の個体影響研究さらには障害治療への展開の可能性を模索しながら、討論いただく予定です。

12月1日(木)    

放射線影響研究のブレークスルー:幹細胞研究 高橋千太郎(放射線医学総合研究所理事)
幹細胞を用いた放射線障害治療の実際と問題点 明石真言(放射線医学総合研究所)
放射線照射と造血:造血幹細胞を守るしくみ 中内啓光(東京大学医科学研究所)
放射線抵抗性を有する骨髄間質細胞の分化能 梅澤明弘(国立成育医療センター)
幹細胞維持と癌化のメカニズムの接点:Cancer Stem Cells 
    岡野栄之(慶応義塾大学)
プラナリアの幹細胞システムと放射線 阿形清和(京都大学)
生殖細胞移植実験が明らかにした魚類精原幹細胞の可塑性
    吉崎悟朗(東京海洋大学)
幹細胞研究に求められる技術とは? 安倍真澄(放射線医学総合研究所)
ヒト細胞における効率的遺伝子破壊をめざして 森 雅彦(放射線医学総合研究所)

12月2日(金)    

GFPトランジェニックメダカを用いた血球系細胞の可視化
    丸山耕一(放射線医学総合研究所)
ヒツジ胎子内微小環境を用いたサルES細胞の分化誘導システム
    長尾慶和(宇都宮大学)
核移植技術による体細胞核の完全初期化 若山照彦(理化学研究所 神戸研究所)
幹細胞の傷と細胞の分化、腫瘍化との関連―原爆被爆者所見をもとに
    鎌田七男(広島原爆被爆者援護事業団)
消化管の幹細胞:分化のゆらぎと発がん感受性 立松正衛(愛知県がんセンター)
ヒト肝前駆細胞の培養と移植およびヒト肝細胞 キメラマウスの放射線影響研究利用への展望
    立野知世(広島県産業科学技術研究所)
乳がん感受性と乳腺クロノジェン 島田義也(放射線医学総合研究所)