シンポジウム:第1回長崎シンポジウム

 
放射線医療科学国際コンソーシアム第1回長崎シンポジウム



放射線医療科学コンソーシアムが2002年度文部科学省21世紀COEプログラムに採択されたことを記念して、放射線医療科学国際コンソーシアム第1回長崎シンポジウムが2003年2月21、22日の両日、長崎大学医学部ポンペ会館で開催されました。総計120名に上る、来賓各位、旧ソ連邦・欧米諸国のコンソーシアム参加(予定)機関からの代表者、および学内外の研究者各位のご参加を得て、シンポジウムは成功裏に終了しました。

シンポジウムの開会式は、齋藤 寛学長による開会の挨拶で始まり、松原純子(内閣府原子力安全委員会委員長代理)、長瀧重信(放射線審議会会長)、佐々木康人(独立行政法人放射線医学総合研究所理事長)、青木芳朗(財団法人放射線影響協会理事長)、丹羽太貫(日本放射線影響学会会長)の来賓の先生方からご祝辞をいただいた後、拠点リーダーの朝長万左男教授による本コンソーシアムの紹介で終了し、午後に行われた、佐々木正夫名誉教授(京都大学)、ジェラルディン・トーマス教授(南西ウェールズがん研究所)、ジェームズ・トロスコ教授(ミシガン州立大学)による基調講演でシンポジウムの第1日を終了しました。第2日は、三つのセッション「原爆医療研究の研究成果の概観」「海外の放射能汚染地域における疫学研究の研究成果と将来計画」「低線量放射線生物学研究の現在までの研究成果と将来計画」において合計16の講演がありましたが、いずれについても活発な討論が行われ、放射線医療科学コンソーシアムの本格的活動の着実な第1歩を踏み出すことができました。


本シンポジウムのサテライトミーティングとして、2月20 日には「放射線被ばく医療・疫学コンソーシアム」の国際セミナーが、2月23 日には「放射線生命科学コンソーシアム」の国際セミナーがそれぞれ開催されましたが、いずれも、国内外のシンポジウム参加者と大学院生を含む学内の若手研究者による多数の研究発表があり、両コンソーシアムにおける今後の事業についての熱心な意見交換が行われました。本シンポジウムおよび二つの国際セミナーでの講演は論文として纏められ、Radiation and Humankindと題してアムステルダムのエルゼヴィア社から2003年11月に出版されました。本シンポジウムのプログラムは以下のとおりです。



プログラム 会場:長崎大学医学部ポンペ会館

第1日(2月21日)

10:00-11:10 開会式  司会:山下俊一(長崎大学)

10:00-10:40 開会の辞 齋藤 寛(長崎大学学長)
 来賓挨拶
  松原純子(内閣府原子力安全委員会委員長代理)
  長瀧重信(放射線審議会会長)
  佐々木康人(独立行政法人放射線医学総合研究所理事長)
  青木芳朗(財団法人放射線影響協会理事長)
  丹羽太貫(日本放射線影響学会会長)

10:40-11:10 COEプログラムの紹介
  放射線医療科学国際コンソーシアム:概念、組織および計画
    朝長万左男(拠点リーダー、長崎大学)
 
11:10-13:00 集合写真、昼食、記者会見
 
13:00-15:30 基調講演   座長:奥村 寛(長崎大学)

  • 放射線適応応答と遺伝的不安定性:遺伝子型−環境相互作用の表現型ダイコトミス
    佐々木正夫(京都大学)
  • チェルノブイリ甲状腺組織バンク−甲状腺がんに関する国際共同研究
    ジェラルディン・トーマス(南西ウェールズがん研究所、イギリス)
  • 放射線誘発がんの刻印:無視されている概念
    ジェームズ・トロスコ(ミシガン州立大学、アメリカ)
 
15:30-16:00 休憩
 
16:00-17:00 施設見学
 
18:30-20:30 レセプション


第2日(2月22日)

9:00-12:00 座長:林 邦昭(長崎大学)、ヴィクトル・イワノフ(ロシア医学アカデミー医学放射線研究所)

原爆医療研究の研究成果の概観

  • 長崎大学における原爆被爆者研究
    関根一郎(長崎大学)
  • 放射線影響研究所における原爆被爆者研究
    バートン・ベネット(財団法人放射線影響研究所)

海外の放射能汚染地域における疫学研究の研究成果と将来計画

  • チェルノブイリ事故後のオリョール州住民における放射線誘発悪性・良性甲状腺疾患のリスク:大規模疫学研究の結果
    ヴィクトル・イワノフ(ロシア医学アカデミー医学放射線研究所、ロシア)
  • 放射線被曝者とがん患者における体細胞遺伝子突然変異誘発とアポトーシスの特徴
    アレクサンドル・サエンコ(ロシア医学アカデミー医学放射線研究所、ロシア)
  • ベラルーシ国民の健康状態と放射線医学研究の概観および将来展望
    パベル・ベスパルチュク(ベラル−シ医科大学、ベラルーシ)
  • 甲状腺と放射線(ウクライナ−アメリカ甲状腺プロジェクト)
    ニコライ・トロンコ(ウクライナ医学アカデミー内分泌代謝研究所、ウクライナ)
  • チェルノブイリ原発事故のウクライナにおける健康影響−現状と将来計画
    ウラジミール・ベベシュコ(ウクライナ医学アカデミー放射線医学研究所、ウクライナ)
  • 東カザフスタン地域住民の疫学・臨床研究とリハビリテーションに関する現在の成果と将来計画
    マラット・テレイオフ(セミパラチンスク医科大学、カザフスタン)
  • セミパラチンスク地域住民の内分泌・免疫系臓器の病理学的研究
    ユーリ・プルグロ(セミパラチンスク医科大学、カザフスタン)
 
12:00-13:30 昼食
 
13:30-15:50 座長:渡邉正己(長崎大学)、ジェームズ・トロスコ(ミシガン州立大学)

低線量放射線生物学研究の現在までの研究成果と将来計画

  • 遺伝的不安定性、放射線感受性遺伝子および発がん
    ロバート・ウルリッヒ(コロラド州立大学、アメリカ)
  • 電離放射線誘発の細胞内情報伝達経路
    アレックス・ファン・デル・エブ(ライデン大学メディカルセンター、オランダ)
  • 低線量放射線生物学におけるマイクロビーム技法の応用
    バリー・マイケル(グレイがん研究所、イギリス)
  • 放射線誘発の遺伝的不安定性の継代遺伝
    ウイリアム・モーガン(メリーランド大学、アメリカ)
  • 放射線生物学のための光子マイクロビーム照射システムの開発
    小林克己(高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所)
  • 放射線生物学のヨーロッパ修士課程
    ケビン・プライズ(グレイがん研究所、イギリス)
  • 精子を放射線照射したマウスの子供における非標的・遅延突然変異および精子・放射線照射接合体間のゲノムクロストーク
    丹羽太貫(京都大学)
 
15:50-16:10 休憩
 
16:10-16:50 総合討論  座長:朝長万左男、渡邉正己(長崎大学)
 
16:50 閉会の辞  朝長万左男(長崎大学)