シンポジウム:21世紀COEプログラム広島大学・長崎大学採択記念シンポジウム

 
21世紀COEプログラム広島大学・長崎大学採択記念シンポジウム
「原爆後障害医療・緊急被ばく医療に関する21世紀COE研究交流

第45回原子爆弾後障害研究会(平成16年6月6日、長崎原爆資料館)において「文部科学省21世紀COEプログラム」広島大学・長崎大学採択記念シンポジウムが開催された。まさに広島、長崎の原爆被災からの復興とその国際化への対応としてきわめて意義深いシンポジウムであった。170名の広島、長崎を中心とする参加者を迎え貴重な報告が行われた(プログラムは下記参照)。

広島大学は「医学系」の分野で「放射線災害医療開発の先端的研究教育拠点―ゲノム障害科学に基づく学術基盤の確立と医療展開―」が平成15年度採択された。被ばくによるゲノム障害の解析を展開し、放射線災害に対応する集学的医療システムの構築を目指し、更に新たな医療を創生しうる高度な専門的知識・技術の修得、および研究開発能力の育成を目標に世界の拠点形成につなげる活動を展開している。これに対して平成14年度に「複合・学際・新領域」で採択された長崎大学は「放射線医療科学国際コンソーシアム」で世界の被ばく医療に貢献するために、海外拠点との間に連合体を形成し、学術交流と共同プロジェクトを展開している。放射線基礎生命科学から原爆研究、そして国際ヒバクシャ医療協力・分子疫学調査と緊急被ばく医療の推進が図られ、国際シンポジウムや海外拠点との幅広い交流により、国内外の「平和学」の創生が目指されている。

これら両大学の21世紀COEプログラムは、原爆被災と言う負の遺産を活用し、両大学の力強い協力関係を構築しながら、原子爆弾後障害研究の新たな展開と、真に放射線医療科学分野における世界拠点となる足固めとして高く評価されている。今後ますますの成果が期待されると同時に、平成16年11月25日から長崎市で開催予定の第47回日本放射線影響学会(大会長:山下俊一長崎大学教授)においても再びこの両大学による21世紀COEシンポジウムが学会会期中に行われる。広島大学は「ゲノム損傷に対する細胞応答と発がん」であり、長崎大学は「放射線誘発細胞応答と発がん分子がん疫学」であり、さらなるプログラムの展開が期待されている。


プログラム

会場:長崎原爆資料館
日時:平成16年6月6日(日) 15:00-17:00
司会:広島大学医学部原医研・分子発がん制御  神谷 研二
   長崎大学大学院医歯薬・原研内科     朝長万左男

1. 「広島大学プログラムの概要」
広島大学医学部原医研・分子発がん制御 神谷 研二
2. 「長崎大学COEプログラム 放射線医療科学国際コンソーシアムの目指すもの」
長崎大学大学院医歯薬・原研内科 朝長万左男
3. 「放射線障害とゲノム安定化機構」
広島大学医学部原医研・放射線ゲノム学 松浦 伸也
4. 「緊急被ばく医療と後障害フォローアップ:臨床サイドの課題」
広島大学医学部原医研・がん分子病態 稲葉 俊哉
5. 「長崎原爆被爆者の重複癌の発生に関する検討」
長崎大学大学院医歯薬・原研病理 関根 一郎
6. 「国際ヒバクシャ医療協力・分子疫学調査と緊急被ばく医療の推進」
長崎大学大学院医歯薬・原研細胞 山下 俊一
7. 総合討論