『実像と虚像の狭間で、揺られる。』


ガタンゴトン、ガタンゴトン
暗闇を抜けた後、母に抱かれ、父に守られ、そうして過ごし、
ガタンゴトン、ガタンゴトン
もの心つき、喜怒哀楽以外の感情があることを知り、
ガタンゴトン、ガタンゴトン
この世は競争社会だと刷り込まれたが、
ガタンゴトン、ガタンゴトン
すべての事象には多面性があり、
しかしながら善悪を超越するものがあること、
そんなことを考えながら、
ガタンゴトン、ガタンゴトン
たどり着いた終着駅。
苦労して手にしたいろんな荷物を抱えて降りようとするけれど、
ここから先は何も持っていけませんよ、とのこと。
じゃあここで終わりですか、とたずねると、
いやいやまだ先がありますよ、と言う。
そんなことは聞いていません、と言うと、
いや、もともとそうなっていたわけで、気づく人は気づくんですけどね、と言う。
そんなものですか、と問ふと、
そんなものですよ、と言ふ。
そうか、そんなものか。