『菊池渓谷で、ものを思ふ』


夏期休暇の最終日に、家族3人で熊本県の菊池渓谷を訪れた。
当地の気温は20度前半(場所によってはそれ以下)と、
俗世の猛暑はどこへいったのかと思えるほどの涼風が吹き渡る中、
轟々たる滝、滝から滝へと流れる清く冷たい水、フィトンチッドを放つ群生林、
それらが奏でる自然音、五感をことごとく快適に刺激し、
非日常的な日常の最終日にふさわしい癒しの場であった。
そんな渓谷を散策しながら、もの思ひにふける。
我々の日常は様々な人工物に取り囲まれ、
さらに粗雑な周波数の中に長時間さらされている。
これは本来微細な情報を感知できるはずの五感を鈍らせている原因ではなかろうか。
微細な情報が時に思いもかけない転機をもたらすことを考えると、
これは由々しき事態である。
微細な情報を感知する五感の精度を高めるために、
時々は自然という装置を利用することを提唱したい。