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研究目的

1.放射線に起因する甲状腺疾患の病態を動物モデルを用いた基礎研究を通して解明していくことを目的としている。

2.放射線に起因するDNA損傷の修復を担う分子メカニズムの解析を通して、放射線誘発がんの分子病態とがん治療薬開発を目指している。

研究課題

1.ALDH 酵素活性と癌幹細胞(CSC)機能の関連性


2.ラット甲状腺細胞株PCC13における放射線誘導ROSとDNA損傷,染色体異常誘導と
抗酸化剤ANNの効果の検討

3. 遺伝子改変マウスを用いた甲状腺発がん実験

現在と展望

1.甲状腺がん細胞株において,aldehyde dehydrogenase(ALDH)ががん幹細胞(Cancer stem cells;CSCs) のマーカーとなることは以前報告したが,それをさらに進めて,ALDHの機能とCSC形質の関係を検討した。 N,N-diethylaminobenzaldehyde(DEAB)によるALDH酵素活性阻害やshRNAによるALDHの発現抑制はスフェア形成能を低下させないこと, さらにALDH非発現細胞でのALDH強制発現もスフェア形成能を上昇させないこと、つまりALDH活性は甲状腺がんCSCの単なるマーカーであり, 機能的意義はないことを見出した。さらに,CSC⇔non-CSCという可塑性があることも見出した。これらの結果は, CSCを除去してもnon-CSCからCSCが生じるため,単にCSCを標的とした治療法の開発 は無意味であり,CSCを枯渇させる(CSC⇒non-CSC を促進,或いはnon-CSC⇒CSCを抑制) 治療法の確立が必要であること,この目的のためには単なるマーカーであるALDHは役に 立たないことを強く示唆した(Shimamura M, et al., Endocrine,55:934,2017)。 現在,機能的に意義のある別のマーカーを検討中であり,活性酸素(reactive oxygen species; ROS)が候補として挙がっており,研究を進めているところである。

2.以下外照射と内照射に対する反応をまとめる。外照射後、ROSが瞬時に上昇しすぐ基礎値に戻る。これは放射線に よる直接効果と間接効果(ROS,特にヒドロキシラジカルが関与)による。その後遅延型のROS再上昇がみられる。それに合わせて,DNA二重 鎖切断(DNA double strand break;DSB)も2峰性の変化を示す。この遅延型・持続型ROS産生はミトコンドリア由来スパーオキシドと言われ ている。しかし,驚くことに,微小核形成(micronucleus; MN)は最初のROS/DSBの上昇に合わせて,わずかな増加を示すにすぎないが,遅 延型ROS/DSB上昇より極めて高値を示す。このことは,外部照射による染色体異常の原因のほとんどは照射直後の放射線の直接・間接効果 ではなく,遅延型のROS上昇によるものであることを示している。そのため,抗酸化剤であるNACを照射前から投与すると,ROS/DSB/MNが 著明に抑制されるが,照射後投与でも遅延型のROS/DSBの上昇が抑えられたため,ほとんどのMNが見られなくなる。内部照射では,被ばくが 継続するため長期のROS/DSBの上昇とそれによるMNの上昇がみられるが,この場合も外部照射の場合と同様に,被ばく前からの投与のみで なく,被ばく後からの抗酸化剤投与でもMNを著明に抑制できることが確認された。これらのデータは,「被ばく後の抗酸化剤投与により, 被ばくによるほとんどの染色体異常を抑制することができる」ことを示唆している。これより,MNが発がんにおいて重要な役割を果たして いること(総説:Mutagenesis. 26(1):93-100, 2011)から考えて,「被ばく後の抗酸化剤投与により,被ばくによるほとんどのがん発生 を抑制することができる」との仮説を導き出すことができる。なお,この実験は甲状腺細胞を用いて行ったが,外照射に関しては,全ての 細胞において言えることである。今後これをがん発生抑制という直接の観点から検討したい。
3.BRAFV600Eのコンディショナルノックインマウス(BrafCA;loxp 配列を持ち,CreによりBRAFV600Eが発現する)の甲状 腺に微量のAd-TgP-Cre(甲状腺特異的プロモーター下でCreが発現するアデノウイルス)を注入することにより、1年で発がんに至る分化型 甲状腺がんマウスモデルを作出した。さらにPTEN欠失を加えること、低分化型がんが発生することも確認している。現在免疫組織などで腫瘍 の性状の詳細を検討中である。