長崎大学原爆後障害医療研究所 腫瘍・診断病理学分野(原研病理)

教授挨拶

教室ホームページをリニューアルしました

長崎大学原爆後障害医療研究所 腫瘍・診断病理学分野(原研病理) 教授 中島正洋
長崎大学原爆後障害医療研究所
腫瘍・診断病理学分野(原研病理)
教授 中島 正洋

この度、教室のホームページをリニューアルしました。2010年7月以来15年ぶりのリニューアルです。私自身、還暦を迎え、教授として15年の年月が過ぎた事を実感しています。これまでに23名の大学院生が教室で研究し、卒業していきました。日本のみならずカザフスタン、ベトナム、ベラルーシ、キルギス共和国からの学生が医歯薬学総合研究科で学び、自身の目標を達成すべく、現在も各々の立場で精進しながら活躍していることを指導教員として嬉しく思います。

2025年は原爆被災復興80周年にあたります。2022年2月24日に始まったロシアのウクライナへの侵攻から既に3年が経過し、イスラエルによるパレスチナの一般市民(非戦闘員)への暴力も続いたままです。ロシアの軍事ドクトリンでは4つの核使用の条件を新たに設定し、国際社会を恫喝しています。このような困難な世界情勢の中、2024年のノーベル平和賞は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与されました。長年の核兵器廃絶へ向けた取り組みが評価されたのと同時に、原子爆弾の非人道性を語り続けている被爆者の方々の苦悩の歴史に報いようとするものだと感じます。長崎原爆資料館の入館者数は2023年度に22年ぶりに75万人を超え、2024年度は約81万人に増えています。この中の26%は外国人であり、被団協のノーベル平和賞のインパクトにより、世界が平和や原爆放射線の健康影響を今一度考える機会になればと願います。

昨年度、大学病院の病理診断科・病理部長を拝命しました。原研所長との二足の草鞋となることに耐えられるのか悩みましたが、教室員が背中を押してくれたことで任にあたることを決心しました。長崎の病理診断の将来について、原研の将来について、それぞれ関係者で真剣に考えていくことが必要な時期に来ていると思います。大学病院ではがんゲノム個別化医療を推進しているところで、今後も症例が増えてくることが予測されます。教室には4人の分子病理専門医がいて、毎週のエキスパートパネルのキュレーションを担当しています。大学病院のがん診療拠点病院としての機能を果たすため、病理医の果たす役割は増え、その重要性は増しています。現在、長崎では若い病理医が徐々に増えてきていて、明るい兆しが見えています。原研は、本年度から改組し、4部門から5部門となりました。放射線・環境健康影響共同研究部門に甲状腺がん共同研究センターが設置され、原研の将来を思いながら、臨床との共同研究で研究医の育成に尽力したいと考えています。教室のミッションは大学病院に拡大し、教室員の業務は増えています。同時に教室関連の教員・医員の増加にもつながっていて、これが業務量とバランスが取れ、教室全体のレベルの底上げに繋がれば理想的と考えます。これまで以上に、教室員と力を合わせて、職務に当たっていきます。

(令和7年7月)

教授就任12年にあたり(令和4年4月)
開講50周年に思うこと(平成27年3月)
近況報告(平成25年4月)
原研創設50周年を迎えるにあたり(平成24年4月)
教授就任のあいさつ(平成22年3月)
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