研究内容

(1)放射性同位元素の臨床利用の研究
放射性同位元素および放射性同位元素で標識された薬品(放射性医薬品)は、生体機能に従って分布する性質を利用して、診断や治療に大きな役割を果たしている。当教室ではポジトロン断層撮影(PET)やシングルフォトンコンピューター断層撮影(SPECT)などの技術を用いることで、循環器・神経・腫瘍・その他様々な疾患の診断・治療における放射性同位元素の有効利用を推進し、その有用性をより高めるための新たな手法の開発を行っている。
(2) 小動物PET/SPECT/CTによる前臨床分子イメージング
分子イメージングは、生体機能を非侵襲的に可視化・定量化する技術である。長崎大学が有する小動物分子イメージング装置はBSL3区画に設置されており、国内で唯一の感染モデル動物イメージングが可能な施設となっている。
PET/SPECTによって放射性薬剤の体内動態を可視化することで、新たな薬剤の開発支援や治療効果判定、感染モデル動物の機能変化検出といった、基礎と臨床の架け橋となる研究を行っている。
また、学内外の装置利用希望者に対しては全面的バックアップを行っている。
(3) ホールボディカウンター(WBC)による体内放射能の測定
体内に取り込まれた放射性物質から放出されるガンマ線を計測し、核種の同定および体内放射能を測定する。大型の鉄室内にNaI(Tl)シンチレーション検出器およびゲルマニウム半導体検出器を備えており、低バックグラウンド環境にて計測することができる。
1968年設置当初の対象者は、長崎原爆による放射能汚染地域住民であった。
1986年のチェルノブイリ原発事故後は、周辺住民の測定に従事している。また、2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故後は、ごく初期段階より測定を実施し内部被ばく線量の評価に取り組んだ。
(4) 放射線損傷の修復機構
電離放射線照射によって生じるDNA二本鎖切断は、主に相同組換え修復(HR)と非相同末端結合(NHEJ)によって修復される。又、その他の修復系も報告されている。NHEJでは、doubles strand DNA dependent protein kinase(DNA-PK)が中心的な働きをしている。DNA-PK活性は熱に対して高感受性であり、これが放射線の温熱増感に寄与している事を明らかにした。DNA-PK複合体の各サブユニット欠損細胞の間で放射線感受性に差が見られた。これらの各サブユニット欠損細胞を用いて、NHEJ とHRやその他の修復系との関連を調べている。