開発の背景

児童の理科離れと環境エネルギー問題の高まりのもとに、市民の放射線リテラシー向上における学校教育の重要性が再認識され、新学習指導要領では放射線に関する指導内容が組み込まれました。これは約40年ぶりの復活となり、この間に低下した現場の教員自身の指導能力を再構築する必要があるため、教員向けの放射線教育、いわば教員の放射線リテラシー向上が進められてきました。

そのような過程で起こった福島原発事故は、放射線に対する一般市民の関わり方を一変させ、生活環境における放射線、放射能と、その多面的な影響、特に健康影響に関わる継続的な放射線リスクコミュニケーションの必要性が生じることとなりました。放射線教育は、今や、単なる放射線の理解促進とリテラシー向上だけではなく、それに基づく安心を得るための重要な手段として位置づけられています。そして、教育の場は学校に留まらず、コミュニティスクールや地域保健を巻き込んだものになるでしょう。そのためには、多彩な教育・コミュニケーション担当者による指導の支援が必要とされます。

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これまで、学校における放射線教育を支援する方策として、放射線の基礎や利用に関する教育職員セミナーの開催、放射線等に関する副読本の作成と配布、教材公開、資料公開、実践例紹介、出前授業などが行われてきました。

そこで浮かび上がってきた課題の一つとして、たとえ良い教材を作成し、公開しても、それをどのようにして授業に組み込むかという点への支援が不足しているという点があります。教育、説明側の放射線リテラシーが構築過程にある場合には、なおさらのこととなります。そこで、広がり続ける放射線教育の目的に適い、現場で強く望まれている「誰でも高品質の教育を提供できるようにする」ための手法 -パッケージ化- が必要とされています。


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