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昭和27年原爆班研究報告


原爆災害調査研究班 第1回協議会研究概要報告: 筧 弘毅
(昭和27年9月29日 於広島医科大)


エックス線照射廿日鼠の死亡率に及ぼす諸薬剤の影響
東大放射線科(主任 中泉正徳教授)委員 筧 弘毅 外7名

[研究目標]
  廿日鼠にエックス線全身照射を行った場合、その死亡率に対し諸薬剤がどんな影響を与え得るかを検討する。
[研究方法]
  15 g前後の廿日鼠1回に600~1000 γ(135 KV)の全身照射を行い、10~20日程度でその大半が死亡するようにし、その際薬剤を投与したものと、対象としてRinger氏液を与えたもの又は無處置のものの生存曲線につき比較観察した。
  使用薬剤
1. 抗ヒスタミン剤 Restamin、R16、R32、3015RP、3277RP
2. 副腎皮質ホルモン剤、DOCA.Internin
3. Cystein
4. その他 Atropin、Rutinon
5. 対照 Ringer氏液、生理的食塩水
 
使用廿日鼠: 1回の実験、1薬剤につき10~25匹
(主として三島遺傅研究所のものを使用)
投与法: 各種薬剤の毒性を試験し、有効と思われる濃度で照射前および照射後1日1回ずつ皮下に投与した。
 
[実験結果]
 
1. 抗ヒスタミン剤中、Restamin、R-32、3015RP、3277RPは共に対照に比し略、同様の経過を示す。R-16は多少効果ある結果となっている。
2. DOCA.Atropin、Interenin、Rutinon、Cysteinはいづれも対照との差を見出し難い。
3. Interenin、Rutinon、Cysteinは最初、対照よりも却って死亡率が髙かったので検討した結果毒性があることが解った。精製して毒性の少ないものについては2の結果となった。
4. 無處置の場合はRinger氏液又は生理的食塩水を与えた場合に比して死亡率が髙い。
[考按]
 
1. Cysteinについては照射前に与えても効果は認められなかった。現在はPHの問題を改善している。
2. Cystein誘導体、Penicillin、Hodostinについて目下実験中である。

所蔵 広島大学放射線医科学研究所
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