拝啓
昨今は早急に寒さを増して来ました。貴下に於かれましては、益々御清祥の候、まことに慶ばしく存じ上げます。就而過日塩田広重委員長から、昭和27年度原爆災害調査概要報告概要書を提出する様にとの通知がありましたが、当教室では目下京都近辺の被害者の調査に着手し始めたところで、目下の所、報告に値する成績を持ち合わせませんので、今回は取り敢えず右概要書の提出を中止させて頂きます故、よろしくお願い致します。被害者の身之調査は仲々むづかしい様に考えられますが、出来るだけ、目的に向って努力を払ふ決心です。
尚、教室関係の原爆に就ての研究は全部報告済みになってゐますが、最近英文で纏め上げたもの二部を御恵送申し上げますから、よろしく御取り計い願います。一部はActa Scholae Medicinalis Universitatis in Kioto vol,30,Fasc,2,1952で雑誌に既発表のもの。他の一部は Report to the Special Research Committee on the atomic bomb disasters Feb,13,1950で、その内容は既に報告されてあるものです。
愈々寒さ加はります折柄、折角御自愛専一のほどを祈り上げます。尚御京の折に、広田委員長によろしく御風声のほど願い上げます。 |
| 敬具 |
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１２月 菊池武彦
中泉教授殿
侍史
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