原爆被災資料
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昭和27年原爆班研究報告


広島の原爆症について(広島逓信病院 蜂谷道彦)


 謹啓、ここ数日大変寒くなりましたが、先生御壮健で御精励のことと拝察申上げます。弊院こと私を始め職員一同相変わらず元気で研究に従事していますから、何卒、御放念下さいませ。
 扨て、原爆災害調査研究班からの御通知による研究報告日封御送り申し上げましたから、係の人にお渡し下さいませ。勝部玄の論文抄録當て先生経由で司令部の方へお届け預ったと思いますが、一編を除き他は未発表でありましたので、彼の学位請求内容要旨(秘密教授会で通して貰いました論文)をお送り申し上げましたからこれでお許し下さいませ。他の発表済みのものも別刷はありませんでした。私が関係方面のうるさいのをもぐる為に「広島の原爆雑話」として日記の形をとり発表しましたのは被爆后、比較的調査団が活動しなかった時代の原爆症や当時の記録をかいたものです。即日校正致しますので別刷お届できると思います。尚本年度研究が未発表のものも二月までには一応報告できる位までの結果が出ると思います。その時は上京して御報告申し上げます。
 今回は大変強引なから原爆調査報告書お届け申し上げます。


未発表のもの
1. 広島の原爆症に就て
勝部 玄(逓信医学に投稿済み)
第一編、原子爆彈症(放射線病)の初期症候群および被爆條件に関する統計的な
觀察  (400字詰 19貢、表3)
第二編、原子爆彈被爆者に於ける血液像の統計的觀察
(400字詰 15貢、表2)
第三編、原子爆彈症の臨床報告
(400字詰 56貢、表9)
2. 原子爆彈被爆者の熱傷瘢痕の整形手術に就て
岡本 繁、勝部 玄共著(400字詰 13貢、表1)(逓信医学投稿の予定)
3. 原子爆彈被爆者の自律神経機能に就て
勝部 玄、太田信五 共著(400字詰 13貢、表9)(逓信医学に投稿予定)
4. 原爆直後から1~2週間に於ける体外誘導放射能(市内に残存した放射能)の人体に及ぼした影響調査
月藤雪夫(目下調査中)
5. 原爆火傷瘢痕に対するクラウゼ氏植皮術の統計的觀察
土井達郎(目下調査中)

既発表のもの
1. 原子爆彈被爆者の瘢痕「ケロイド」の成因に就て
勝部 玄 廣島医学 Vol.Ⅴ. No.5-6, 1952
2. 原爆被爆の白血球に及ぼした影響に関する一考察
小山綾夫 廣島医学 Vol.Ⅴ. No.5-6, 1952
3. 原子爆彈による角膜、網膜火傷例
小山綾夫 眼科臨床医報 Vol.40. No.9, 1946
  (以上別刷なし)
4. 廣島の原爆雑話
蜂谷道彦 逓信医学 第2巻第2号(1950-11)から連続投稿や本稿は投稿当時の社会環境が悪く、当病院で研究したことと救護病院の実状を正直に書き残したものである。約60日の日記による。別刷は別便を以ってお届け申上げます。
  以上

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