原爆被災資料
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昭和27年原爆班研究報告


拝啓
1、 原爆研究について
広島醫大全体として渡辺委員より提出致します。(浦様、河石を〇めて)
1、 目下投稿中のもの
河石外科国本文治(病理学教室員と共著)著
「原子爆彈投下時に広島市に作業せて1男子に認められたる廣汎な皮下結節状の増殖を伴える側骨髄芽球白血病の一例」
右御返事申し上げます
昭和二十七年十一月三十日
岡山、高松連絡船中にて
               河石九二夫
塩田班長殿へ
投函を忘れて折って廻りおそくなり失礼致しました。


Ⅰ.原爆7年後に調査した大竹町在住被爆者の外科学的所見:
  河石九二夫, 藤浪 武, 宇根本政之

 廣島医科大学外科学教室(指導:河石九二夫) 藤浪武、宇根本政之
 大竹町在住被爆者278名について調査し、その中91名に外科学的所見を認めた。その成績は次の如くである。
 91名を性、年齢別に見ると、第1表の如く、男女の数は略々等しく30才代を中心に男は髙令者に、女は低令者に多く、被爆当時の年令で6才~63才となっている。
 主訴別に見ると第2表の如く、瘢痕を有するもの58名(64%)、赤血球数350万以下の貧血ある者12名で、外観上貧血ありと思はれる者11名、その他全身倦怠感等であった。
 瘢痕について見ると第3表の如く、女は男の約2倍で、部位別では前膊、頚部、前胸部の直接皮膚の露出した所に多く、腹部、大腿部、背部の隠蔽された所は極めて少かった。又瘢痕部に自覚他覚的症状を有する者は第4表に示す如く、瘙痒感を訴える者が多くて攣縮は比較的少なかった。瘢痕治癒して外観上不明なもの7名があった。瘢痕部に潰瘍のあるものはなかった。
 以上より瘢痕は7年後の今日治癒すべきものは殆ど治癒して居ると考えられ、治癒せざるもの及び瘢痕性攣縮に対しては外科的治療が必要である。尚原子爆彈症患者には血液に変化があるものが多いので此の点注意して治療すべきであると考えられる。

所蔵 広島大学放射線医科学研究所
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