原爆被災資料
ホーム保存資料昭和27年原爆班研究報告>Ⅱ.原爆7年後に調査した大竹町在住被爆者の産婦人科的所見:田渕 昭、高田禾苗、大東澄夫、三好敦史、石田順一、船橋税穗、中田義正、森脇一彦、金谷富生、野間正敏、瀬戸紀守


昭和27年原爆班研究報告


Ⅱ.原爆7年後に調査した大竹町在住被爆者の産婦人科的所見
 廣島医科大学産婦人科学教室(指導:田渕昭) 高田禾苗、大東澄夫、三好敦史、石田順一、船橋税穗、中田義正、森脇一彦、金谷富生、野間正敏、瀬戸紀守

 大竹町在住被爆女子に就て産婦人科学的調査を行った。之の成績は次の通りである。
1) 被爆による無月経(98名での調査)は一過性に過ぎずして多くは半年以内に来潮するが、調査者の約半数に於て性週期の型が被爆前とは異っており、月経持續日数の短縮、月経間歇日数の短縮と月経血量の減少せるものが多い。
2) 妊娠能力に関する調査では、妻の被爆女子61名中原爆による不妊か又は他の原因による不妊か更に検討を要するものは3例に過ぎず、他方被爆後妊娠(被爆前に結婚せるもの及び被爆後に結婚せるものでも)も多くは被爆後短期間内に妊娠しており、3年を経て初めて妊娠せるものも被爆による影響とは考えられず、夫の被爆せる27名ではその妻の不妊は2名に過ぎず、他は被爆後早期に妊娠しており、夫婦共被爆せる6組でも不妊を示すものは1組に過ぎず、斯くて被爆は妊娠能力への影響はないか、例えあっても稀なものと考えられる。
3) 被爆後の分娩産褥経過並に出生児の発育に関する調査では被爆時妊娠せるもの13例中3ヶ月の3例では2例流産し1例はその出生時に著名な小頭症と智能の発育障碍を認め4ヶ月の1例に早産を認めたが、母児共健在で被爆後の母体(45名)は乳汁分泌不全、出生児には生下時体重の減少と歯牙発育や歩行開始の遅延を認めているが、妊娠中母の被爆せるものの出生時11名では前述の1例を除けば他に畸形なく被爆児13名では1名の胸骨突起と心機不全をもつ発育不良児以外に発育障碍なく、被爆後妊娠し出生せる児には1名の発育障碍並に畸形も認めなかった。
4) 被爆後には腫瘍発生が恐れられているが我々の調査時に発見した腫瘍は子宮筋腫、卵巣腫瘍の各1例づつに過ぎなかった。

所蔵 広島大学放射線医科学研究所
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