原爆被災資料
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昭和27年原爆班研究報告


Ⅲ. 原爆7年後に調査した大竹町在住被爆者の内科学的所見
   廣島医科大学内科学教室(指導:浦城二郎)佐々木甲子郎

 
 大竹町在住被爆者中内科的愁訴のある130名に就て内科学的検索を行った。
 自覚症状として主なるものは、全身倦怠、肩凝、頭重感、眩暈又は身体の動揺感、疲勞感等であった。之等に就て視診、打聴診、觸診を行ったのであるが、眼瞼結膜に貧血を思はせるものと若干名を認め乍ら、概ね其等の自覚症状を説明し得る所見は認められなかった。唯昭和23年頃より腹部膨満を訴えた35才の女子に臍下に達する比較的固い脾腫を見出した。肝腫、腹水はなかったが、著明な収縮期性雑音の聴取と共に顔貌蒼白で髙度の貧血を想像せしめるものがあった。バンチー氏病を考えたが此の疾患と原子爆彈障碍との関係は俄に断じ得ない。其の他被爆後気管支喘息発作を訴える者2名、肝臓腫大を認めた者3例があった。然し肝腫3例中2例には胆石症その他胆道疾患が考えられた。
 以上の様に原爆7年後に於ける大竹町在住被爆者中内科的愁訴のある130名の大部分に於てそれ等自覚症状を説明し得る疾患又は所見を視診、打聴診、触診上では見出し得ず、また原子爆彈症に特有と思はれる様な所見も得られなかった。

所蔵 広島大学放射線医科学研究所
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