原爆被災資料
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昭和27年原爆班研究報告


長崎大学医学部 原子爆彈災害の総合調査研究報告 
代表 調 来助


 科学研究費交付金総合研究班の一つとして今般「原子爆彈災害調査研究班」が結成せられ、長崎大学医学部から林、廣瀬、和泉、調の四教授が其の委員に選定されたが、長崎は原爆体験の地であり、市の内外に多数の被爆者を擁して其の調査研究が極めて容易である関係上、以上の四教授の外に安中、松岡、頼尊、影浦、三谷、宇宿、富崎の諸氏も協同研究を熱望せられ、依って委員長の許可を得て下記の如き組織を作り之に参加することとした。

1. 和泉成之(班員、小児科教授)
(イ) 被爆児の運動能力並に智能調査
(ロ) 被爆児の免疫形成能力について(実験的研究)
  安中正哉(協同研究者、解剖学教授)
 被爆児童の発育に関する研究(特に計測学的研究)

2. 林 一郎(班員、病理学教授)
(イ) 原爆傷害による母体環境変化が胎生期臓器形成に及ぼす影響に関する病理解剖学的並に病理組織学的研究
(ロ) 原爆災害が人体疾病素因に及ぼす影響(病理学的研究)
  松岡 茂(協同研究者、病理学教授)
 被爆者屍体の病理解剖学的並に病理組織学的研究、特に血液病について
  富崎利親(協同研究者、歯科技官)
 原爆の口腔内軟器および硬器に及ぼす影響

3. 廣瀬金之助(班員、眼科教授)
(イ) 原爆白内障の調査及び放射性実験的白内障の研究
(ロ) 原爆の視器に及ぼした影響
  頼尊豊治(協同研究者、生化学教授)
 被爆者の造血臓器中のコバルト含量について
  影浦尚視(協同研究者、内科教授)
 原爆被害と白血病発生の関係について

4. 調 来助(班員、外科教授)
(イ) 被爆者に発生せるケロイド並に四肢運動障碍の調査研究
(ロ) 致死的大量レ線照射動物の治療に関する研究
  三谷 靖(協同研究者、産婦人科教授)
 原爆の初経に及ぼす影響
  宇宿誠五(協同研究者、放射線科教授)
 被爆児の骨発育に関するレ線学的研究


以上を本年度研究計画の4項目に分類すると林、松岡両教授の課題は「被爆者屍体の病理学的研究」に相当し、調の(ロ)及び廣瀬教授(イ)の後段は「原子爆彈災害に関連する基礎的研究」に属するものの様であるが、他は總て「原子爆彈災害に関する未完結調査及び研究の継続」並に「被爆者後遺症に関する調査研究」に該当するものと思われる。何れにせよ本学に於ける原子爆彈災害調査研究の様式は一般の場合と異り、班員とその協同研究者との間には何等の関連も存在しないので、本年度の調査研究報告も之を一括せず各自に行うこととした。

所蔵 広島大学放射線医科学研究所
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