原爆被災資料
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昭和27年原爆班研究報告


長崎大学医学部 内科 影浦尚視
 原子爆彈と白血病
 長崎大学医学部内科学第二教室 影浦尚視、朝長正允

目的: 原子爆彈放射能が、造血臓器に重篤なる急性傷害を及ぼしたことは、既に明らかになってゐるが、この作用が一過性に止らず、後日、白血病を惹起せしむる可能性の有無を検討する。
方法: 当大学並に長崎市近傍の各病院の外来、入院患者及び保健所保存の死亡診断書
より、白血病患者を選出し、各人の被爆時の位置、直后の急性放射能傷害の種類、程度、
並に白血病病型を可及的詳細に調査した。

成績及び結論:(昭和23~26年度)
 
1) 被爆者群(23名)及び非被爆群(10名)の白血病の発生率には現段階に於ては有意の差を認めない。
2) 併し、爆心地より2 km以内にあった被爆群よりの白血病の発生は(19名)、2 km以遠にあった群(4名)に比し髙度の有意の増加を認める。又、長崎市の白血病死亡数と全国白血病死亡数とをPoisson分布を適用して比較するに長崎市に於て有意の増加を認める。この増加の原因として、原爆放射能を考へることは妥当であろう。
3) 2 km以内の白血病患者の大多数に急性放射能傷害を認め、2 km以遠の者には全く認めないことと顕著な差を示してゐる。
4) 白血病発生は若年者に多く、大多数は急性白血病である。病型は單球白血病が多い。
5) 調査を更に今後續行する必要を認める。
備考
 
1) 本論文は近く、「診断と治療」誌に発表予定
2) 「原爆の血液像及び榮養に及ぼす影響」といふ「テーマ」にて昭和22年以降毎年実施せる成績は、現在整理中にて同年始め発表予定
3) 本年より、小学校児童につき、被爆児と対照児童の血液所見につき調査を開始した。

所蔵 広島大学放射線医科学研究所
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