原子爆弾による皮膚障害 放射線科 施 焜山
終戦後第1回長崎医学会に於て発表 |
目的 |
原爆の爆撃に因って起る皮膚障害の追求 |
方法 |
被爆約6ヶ月に至る間の種々な症例の箇別的観察
全部で45名の患者の内代表的なもの及特殊なもの数例に就て詳しく観察を為した。 |
成績 |
例1. |
殆んど全身にわたる表皮剥离 |
例2. |
屋内に居た者で即発性小火傷及び潰瘍形成があった例 |
例3. |
例2と同様な状態に居た者で遅発性潰瘍性火傷を生じた例 |
例4. |
被爆翌日草刈を行った者に手及下腿部に湿疹様発疹を生じた例 |
例5. |
2粁以上の巨离に居た者で爆撃時に灼焼塊状の物が飛来し足部に当り火傷及び潰瘍を形成した例
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以上の諸例に就て其原因を考察し原爆によって起る皮膚障害は熱線のみならず其他の様々な輻射線及微粒子線或は爆発生成物質(放射性)が重要な役割を果たして居るものと考へられる。 |