長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」
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ロシア連邦サンクトペテルブルグ派遣報告書報告書


 ロマノフ王朝の古都、サンクトペテルブルクはその名前を3回変更するほどに、波乱の歴史を刻んできましたが、近年はヨーロッパに近い関係から多くの資本投資や産業誘致が実行・計画されており、ロシア経済の活況と相まって急激な変貌を遂げております。また、文化的にも古都らしく世界的に有名エルミタージュ博物館を始め様々な文化遺産を有しており、多くの観光客も引きつけています。長崎大学との関係も実はここ数年深まる一方であり、特に長崎大学原研細胞に留学していたロシア出身のDmitri Bulgin先生と、ウクライナ出身で有りながら、母方の出身地がロシアであり、原研細胞で博士号を取得されたIryna Palona博士が勤務されているSt. Petersburg Medical InstitutionのProkrovskaya municipal Hospital(プロクロフスカヤ市立病院)で昨年9月まで病院長であったOtari Khurtsilava教授が、連邦政府直結の学術組織のSt. Petersburg Medical Academy of Postgraduate Studies(サンクトペテルブルク卒後教育医学アカデミー)の学長(Rector)に就任されたことで、飛躍的な発展が期待されております。サンクトペテルブルク卒後教育医学アカデミーは病院、学部(40以上の専門科)、教育スタッフ(2,000名以上の教育スタッフ、そのうち教員400名)と毎年30,000名以上のあらゆるレベルの卒後医学教育を推進しております。今回は、サンクトペテルブルク近辺に原子力発電が建築計画されたことで今後のロシア核・放射線医学教育の重点化、日本をはじめとする国際医学交流、国際産学協力を目的として、今回訪問いたしました。
 周知の如く、ロシアはエネルギー大国として、石油、天然ガスの産出のみならず、国内に多くの原子力発電所を有し、更に、日常医学及び医療で増加の一途をたどる放射線伸しように関して、非常に多くの関心を持っております。長崎大学でのこれまでの放射線医学研究、教育、疫学での蓄積と、2002年から2007年までのCOE構想、2007年グローバルCOE構想との関係模索と共に本格的な学術交流が始まっております。2005年WHO(世界保健機関)に出向されておりました、山下俊一教授の下に、Khurtsilava教授、Bulgin先生及びStem Cell Bankの担当教授であるSmolyanov教授の3名が訪問以来、2006年の山下教授、朝長教授(原研内科)のプロクロフスカヤ市立病院における招待記念講演、2007年7月には、プロクロフスカヤ市立病院からKhurtsilava教授、Bulgin先生及びSmolyaninov教授の長崎への訪問、更に2007年9月には、長崎大学から再生医療・血液医療の記念講演と技術提携目的に、長崎大学から中央検査部の長井先生、血液学の宮崎先生、形成外科からは秋田と、国立長崎医療センター形成外科の藤岡先生、国立佐賀医療センター形成外科の吉本先生による講演会と実際の患者さんの回診治療検討会を実施しました。講演会では急性放射線医療を想定した血液幹細胞の実施意義の検討や、血液学的染色体異常の検索方法の提案、更に形成外科的手法による再建・再生療法の実際と提案として局所放射線障害による再建例が増加傾向にある事、また創傷治癒臨床・研究に使用している幹細胞(骨髄由来間葉系幹細胞)の放射線抵抗性と放射線障害モデルでの有用性を確認したことを報告しております。
 今回の訪問では、サンクトペテルブルク卒後教育医学アカデミーにて、200名を越える聴衆参加のもとに、山下教授のグローバルCOE 被ばく医療学の総括と実際の研究・疫学各論、秋田の創傷治癒学総論とサイトカイン(塩基性線維芽細胞増殖因子、basic Fibroblast Growth Factor, bFGF)を用いた再生医療学の実際、サンクトペテルブルク卒後医学教育アカデミーからはBogdanov教授の血液学の総論とDmitri Bulgin先生によるStem Cell Bankからの自家組織幹細胞を用いた臨床応用例の報告がありました。
 以上の交流実績を元に、平成20年度には具体的な両校の学術交流協定の締結が計画され、今後さらに研究交流、人材交流が展開されるものと期待されます。

(形成外科学 秋田定伯)
 
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