長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」
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末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)フォーラム報告書

原爆後障害医療研究施設分子治療学 塚崎邦弘


末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)フォーラムが、ワシントンDCで2008年9月18日から20日まで開催されました。このフォーラムでは、10以上の疾患単位を含むPTCLについて、診断、分類、治療の現状と新規治療法の開発が発表・議論されました。日本、特に西南九州では非ホジキンリンパ腫の中でもPTCLが多いので、私は参加してきました。

PTCLの標準的治療のうち成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)について国立がんセンターの飛内先生が私たちの臨床試験の結果を発表しました。118例のATL患者を対象とした第3相試験で、biweekly CHOP療法に対するVCAP-AMP-VECP多剤併用療法の有用性が検証されました。完全寛解率は、VCAP-AMP-VECPとbiweekly CHOPでそれぞれ40%と25%でした。VCAP-AMP-VECPは、その生存期間中央値がbiweekly CHOPの11カ月と比べて13カ月と勝っていましたが満足できるものではなく、あらたな治療法開発の基盤として今後の臨床試験を組むべきであると結ばれました。

Bリンパ腫の治療には抗CD20抗体のリツキシマブがあるのに対して、現時点でTリンパ腫にはそのような分子標的療法がないのが大きな問題点とされています。このフォーラムでは、CD2、CD4、CD25、CD52、CCR4を標的とした抗体医薬、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、プロテアゾーム阻害剤、新規ヌクレオシドアナログ、新規葉酸アナログ、シグナル伝達系阻害剤の臨床開発が紹介されました。私たちは、日本で進行中のCCR4標的とした新規抗体医薬の第一相試験のプレリミナリーな結果を発表しました。CCR4はATLの大多数とPTCL非特定型の約3分の一で発現しているケモカイン受容体です。この試験では、薬剤がかなり安全であり、効果を示す例もあることが明らかとなりました。

さらには、若年患者を対象とした同種造血幹細胞移植療法、新規葉酸アナログなどについての発表が注目されました。

次回のPTCLフォーラムは、来年イタリアのボローニャで開催されます。
 
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