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第5回国際マクログロブリン血症ワークショップ参加報告
5th International Workshop on Waldenström's Macroglobulinemia
(IWWM) |
2008年10月15日-19日、スエーデン・ストックホルムにおいてマクログロブリン血症(Waldenström's Macroglobulinemia:WM)の国際ワークショップが開催され、疫学セッションのinvited
speakerとして参加してきたので報告する。(Abstract 102: Iwanaga M. Prevalence of MGUS and WM in
Japan)
IWWMは2000年より2年おきに開催され、WMについて疫学研究・基礎研究・臨床研究など幅広く第一線の研究者がdiscussionし、最終的にコンセンサスをとりまとめる会議である。参加者の大半はinvited
speakerであり、残りは若手研究者によるポスター発表であった。日本(アジア)からの参加者は私一人で、依頼された発表テーマは2つ:「原爆被爆者におけるMGUSの発生と進展」と「日本におけるWMの発症頻度」。前者はこれまで地道にやってきた長崎原爆被爆者のMGUSの疫学研究が評価されたことによる(関連論文を末記に挙げておく)。
WMは未だに定義があいまいなB-リンパ細胞性悪性腫瘍である。多発性骨髄腫と悪性リンパ腫の両要素を持ち、病理学的診断名Lymphoplasmacytic lymphoma
(LPL)でよばれたり、臨床学的診断名WMでよばれたりする。2002年の第2回IWWMではWMの診断定義についてpanel discussionが行われ2003年に論文化されている。本年度は特に治療のコンセンサスに重点がおかれ、白熱した議論が夜遅くまで交わされた。
どの悪性腫瘍もそうであるように、発生率には人種差がある。同じB-リンパ細胞性悪性腫瘍である多発性骨髄腫とWMにおいても違いがあることが最近わかってきた。おそらく環境因子のみならず、genetic
predispositionの違いによるものも考えられている。多発性骨髄腫は、白人より黒人に発生率が高く、アジア人は低い。WMは逆に、白人に多く黒人には少ないが、アジア人のデータはほとんどない。私の今回のWMのデータは日本の地域がん登録のデータを利用させていただきまとめたものである。今後も詳細な検討が必要である。
初めてこのワークショップに参加したのだが、今回のワークショップはこれまでのなかで最も盛大なるものであったそうである。理由は、WMの名付け親であるWaldenstr_m博士がストックホルム出身であることによる。懇親会は下村先生より一足お先にノーベル賞受賞式が行われる広間で盛大に行われた。
長崎原爆被爆者のMGUSの発生と進展に関する論文を記す。
- Iwanaga M, et al. Prevalence of monoclonal gammopathy of undetermined significance:
study of 52,802 persons in Nagasaki city, Japan. Mayo Clin Proc., 2007;
82:1474-1479.
- Iwanaga M, et al. Waldenstrom’s Macroglobulinemia emerged in a patient with
a 10-year stable IgG Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance. Leuk
Res, 2009, 33, 193-195.
- Iwanaga M, et al. Relationship Between Monoclonal Gammopathy of Undetermined
Significance and Radiation Exposure in Nagasaki Atomic Bomb Survivors. Blood,
2009, 113, 1639-1650.
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