長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」
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第15回ヨーロッパ血液学会総会 報告

長崎大学病院原研内科 宮崎泰司


 2010年6月10日から13日にかけて第15回ヨーロッパ血液学会総会がスペインのバルセロナにて開催されました。ヨーロッパ各国の基礎、臨床の血液学者が会するもので、アジア、アメリカからも多くの参加者があり、大変賑やかな会議でした。
 特に、血液疾患の臨床面に関するところでは、骨髄異形成症候群に対する治療、慢性骨髄性白血病に対する新規治療薬の臨床試験の成果、急性骨髄性白血病に対する治療成果のまとめが示され、注目を集めました。中でも慢性骨髄性白血病に対しては第二世代と呼ばれる新たな分子標的薬、ダサチニブ、ニロチニブが初発例に対して用いられ、これまで標準治療となっているイマチニブとの無作為比較試験の結果が発表されました。いずれの薬剤もprimary endpointにおいてイマチニブに優る成績が得られており、今後、初発慢性骨髄性白血病に対する標準治療が変わってくると思われます。ただ、どちらの薬剤もまだ観察期間が短く、イマチニブと比較して長期の生存率が改善されるのかは明らかでありませんが、今後の成績向上が期待できる成績と判断されます。
 骨髄異形成症候群の治療では、特に高リスク例に対して脱メチル化薬が用いられています。これまでの治療法(支持療法、低量化学療法、強力化学療法)と比較して生存を延長させるという一定の効果が示されており、今後使用が広がると思われます。国内でも欧米に遅れてはいますが、脱メチル化薬の一つであるアザシチジンの承認に向けた手続きがとられており、近々使用できるようになると考えられます。これまでは、骨髄異形成症候群の予後を確実に延長させうる治療法は同種造血幹細胞移植のみでしたが、新たな治療薬が使用可能となり、移植を受けられない例に対しての治療効果が期待されます。
 このほか、ヨーロッパ血液学会、アメリカ血液学会との話し合いにも参加し、来年、長崎で開催される国際シンポジウム(日本血液学会)での演者の推薦依頼など学会間の協力体制に関する話し合いが行われました。
 慢性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群などの放射線誘発骨髄性腫瘍に対して確実な治療法の開発が進んでいることが改めて確認されました。
 
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