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蛍光プローブの精密開発に基づく
生細胞応答・in vivo病態イメージングの新展開 |
「生きている」細胞を「生きたまま」観測する技術として、蛍光プローブ、蛍光顕微鏡を用いた観察手法が近年汎用されている。本手法において観測対象分子に対する選択的な蛍光プローブが必要不可欠であるが、筆者らはこれまでに、新規蛍光プローブの効率的な開発を実現する論理的な蛍光プローブデザイン法を、世界に先駆けて複数確立することに成功し、特定の活性酸素種(ROS)を高選択的に検出可能な蛍光プローブ群や、β-ガラクトシダーゼなどのレポーター酵素活性を高感度に検出可能な蛍光プローブ群の開発に成功してきた。例えば、生理的条件下で次亜塩素酸(HOCl)を特異的に検出可能な蛍光プローブHySOxの開発に最近成功し、これを用いてブタ好中球のファゴサイトーシスによってファゴソーム内に産生される次亜塩素酸を、リアルタイムかつ高感度に可視化することにも成功した。さらにごく最近、蛍光プローブの精密設計により、in
vivo、ex vivoにおけるがん組織の高選択的蛍光可視化が可能であることを示すことに成功した。すなわち、例えばまずがん細胞表面を特定レポーター酵素で非遺伝子的手法により修飾し、次にこのレポーター酵素の存在を検知する高感度蛍光プローブを投与することで、がん組織のみを高選択的に光らせることに成功した。この手法を用いれば、0.2mm程度の極めて小さながんであっても十分に検知可能であり、従来のがん検出手法に比べ、格段に選択性、感度面が向上したイメージングが可能であることが明らかとなった。本セミナーでは、目的の機能を実現する蛍光プローブの開発に必須となる論理的精密設計法の概念から、実際に開発に成功したプローブを活用したアプリケーション例まで幅広く紹介する。本セミナーを通じて、有機小分子蛍光プローブの有用性、面白さなどを実感していただければ幸いである。 |
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