原子力の平和利用(Atoms
for Peace)としての
アイソトープと放射線技術の利用
− 国際原子力機関 −
渡邉直行先生
放射線医学総合研究所
原子力の平和利用の促進と軍事利用への転用を防止する国際機関として、2005年にノーベル平和賞をその事務局長エル・バラダイと共に受賞し、2007年に設立50周年を迎えたIAEA
(International Atomic Energy Agency、国際原子力機関)(ウイーン、オーストリア)は、保障措置、技術協力、安全確保の活動を3つの柱としている。IAEAは、事務局長以下、管理局、原子力科学・応用局、保障措置局、原子力安全・セキュリティー局、原子力エネルギー局、技術協力局の6つの局から構成されており、約2300人の職員と145の加盟国を擁している(2008年10月29日現在)。一般には、とかくメ核の番人モである保障措置局の活動が脚光を浴びているが、"Atoms
for Peace"の精神の下に行われている、原子力発電分野以外での原子力技術の平和利用活動を担う原子力科学・応用局も世界的に活動を展開している。ここでは、2002年10月より6年に亘り原子力科学・応用局に在籍する筆者が、この局の活動を紹介しながら、アイソトープと放射線技術の利用について述べる。一人でも多くの日本人専門家がIAEAの活動について興味を持ち国際貢献を考えていただけるようお願いしたい。