長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」
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放射能Q&A - Q.3 A A
 
 
Q
3. 放射能には「半減期」があるといいますが、「半減期」とは何ですか。
A
  長いのは488億年です。年代の推定にも応用可能です。
 
 原子爆弾が爆発した時には、たくさんの放射線が放出されました。原子爆弾によって放出された放射線には3つあります。
 第1に、爆発そのものから出る放射線です。爆発はプルトニウムあるいはウランの核分裂によって起こりますが、その核分裂によって放射線が出ます。これが原子爆弾の放射線の大半です。
 第2に、核分裂時に、たくさんの放射性同位元素ができます。放射性同位元素とは放射性核種ともいい、放射線を出す原子のことです。放射性同位元素は爆発後に降った灰や原子雲に含まれ、放射線を出します。
 第3は、第1の放射線のうちの中性子線が地上の土や岩石の原子に吸収されて、それらの原子を放射性同位元素に変えたものから出る放射線です。
 第2と第3の放射線は放射性同位元素から出てきます。放射性同位元素は不安定で、放射線を出して安定した原子になり、原子の名前も変わります。原子爆弾で発生する放射性同位元素の1つに「ヨウ素131」があります。原子の中心には原子核があり、原子核は陽子と中性子からできています。「131」は原子核に含まれる陽子と中性子を合わせた数で、質量数といっています。ヨウ素の陽子の数は53個です。自然界にある安定したヨウ素は「ヨウ素137」です。
 ヨウ素131はベータ線(電子線)を出して安定した原子キセノンに変わります。出てくる放射線の量はヨウ素の量に比例します。放射線の量は時間とともに少なくなります。ヨウ素がキセノンに変わってヨウ素の量が減るからです。
 8日たつと最初のヨウ素の量が2分の1になるとともに、放射線の量も2分の1になります。さらに8日たつと、その2分の1、すなわち最初の量の4分の1になります。この半分になる時間、すなわち8日を半減期といいます。半減期ごとに量が2分の1になるので、長時間たつと量は2分の1ずつ少なくなり、限りなくゼロに近づきます。


 放射能には、2つの意味があります。本来の放射能の意味は、1秒間に不安定原子が安定原子に変わる数のことです。この時に同じ数の放射線が出るので、放射能は1秒間に放出される放射線の数と一致します。つまり、放射能とは放射線を出す能力です。そして、現在では放射能をもう1つの意味、放射線を出す物質あるいは放射能をもつ物質の意味にも使っています。
 原子爆弾の材料となった「プルトニウム239」自体も放射性同位元素でアルファ線(ヘリウムの原子核の粒子線)を出し、ウランになります。その半減期は2万4千年です。このように半減期は放射性同位元素によって違います。

主な放射性同位元素の半減期
射性同位元素 放射する放射線 半減期 変化した元素
3H(水素) ベータ線 12年 3He(ヘリウム)
14C(炭素) ベータ線 5370年 14N(窒素)
32P(リン) ベータ線 14日 32S(イオウ)
87Rb(ルビジウム) ベータ線 488億年 87Sr(ストロンチウム)
131I(ヨウ素) ベータ線 8日 131Xe(キセノン)*
137Cs(セシウム) ベータ線 30年 137Ba(バリウム)*
235Pu(プルトニウム) アルファー線 2400年 235U(ウラン)**
*安定するとガンマ線を出す。
**さらにアルファー線を出して231Th(トリウム)に変わる

 半減期を利用して年代を知ることができます。岩石に含まれる天然の放射性同位元素「ルビジウム87」は半減期が488億年で、ストロンチウムに変わります。岩石中のルビジウムとストロンチウムの比率は時とともに変わります。この比率を測れば岩石ができた年代が計算できます。この測定によって、グリーンランドの変成岩は38億年前にできたことがわかりました。このことから、地球の年齢は約46億年であろうとされています。
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