長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」
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放射能Q&A - Q.8 A A
 
 
Q
8. 体内に取り込まれた放射線の量を測定するには、どのような方法がありますか。
A
  ホールボディカウンターを用いて測ります。
 
 食物には、ごく微量の放射性物質が入っています。例えば、放射性カリウムは海藻類、野菜、お茶など多くの食品に含まれています。そのため私たちは、日常の生活で常に放射性物質を体内に取り込んでいることになります。そうした体内に含まれる放射性物質から出される放射線を測定するために「ホールボディカウンター」という装置を使用します。 「ホールボディカウンター」では、被験者は約20分間、仰向けに寝てもらい、体から一定の距離に設置した放射線検出器(ヨウ化ナトリウム・シンチレータ)を用いて体内から放出される放射線の量を測定します。この装置により、内部被ばく線量だけでなく、物質によって放射線の波長が違うことを利用して放射性物質の種類を知ることができます。ただし、すべての放射性物質についてわかるわけではなく、透過力の大きいガンマ線を出す物質だけが測定対象になります。 ごく微量の放射線を測定するためには、外界からの放射線の影響を最小限に抑えなくてはなりません。というのも、自然界には放射性物質が約1900種存在し、宇宙から降り注いだり地表に存在する放射性物質からの自然放射線の影響が常にあるからです。 長崎大学のホールボディカウンターは厚さ20センチの鉄壁で囲まれた部屋でできており、外からの放射線の影響を遮断するような構造になっています。


 長崎大学のホールボディカウンターの鉄壁は、特別な鉄材が用いられています。ホールボディカウンターを製作した第二次世界大戦後(1960年代)の鉄材には、微量ながら放射性コバルトが含まれていました。鉄材の摩耗度を放射線を利用して調べるために製鉄所で鉄の中にわざと混入させていたわけです。しかし、鉄材中の放射性コバルトは、微量な放射性物質を測定するホールボディカウンターにとっては邪魔なものでした。 ところが、第2次世界大戦前の鉄材の中には、この放射性コバルトが混入していないことがわかっていました。そこで、戦前に作られた鉄材を使用し、微量な放射性物質を測定する装置の遮へい材料として使ったわけです。 長崎大学では現在、チェルノブイリ周辺のウクライナ、ベラルーシ共和国、ロシア連邦から医師・専門家が長崎に来た際にホールボディカウンターによる測定を行っているほか、福島県の復興支援にあたっている長崎県、長崎市、長崎大学のスタッフを対象とした測定も行っています。
体内の放射性物質とその計測結果

 グラフは、チェルノブイリ周辺国から来られた方の測定結果ですが、原発事故後に放出された放射性セシウムの部位の測定値が高く、ピークを形成しており、体内に取り込まれていることがわかります。その一方、チェルノブイリ周辺住民を対象とした調査では、放射性セシウムによる内部被ばく線量はほとんどの方で1年間あたり0.1ミリシーベルトよりも低い値であることがわかっています。
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