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「平成19年度グローバルCOEプログラム」
の採択にあたって

長崎大学長(医学博士)
齋 藤   寛


 

6月15日,平成19年度「グローバルCOEプログラム」選定結果が発表され,本学より提案しておりました「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」が採択されました。

 長崎大学長として,今回の「グローバルCOEプログラム」採択は以下の3つの点から大変重要であると考えています。

 第一に,何と言っても拠点リーダーである山下俊一教授をはじめ,医歯薬学総合研究科のスタッフが一丸となって放射線医療科学を発展させ続けた成果の結実であるという点です。
 平成14〜18年度「21世紀COEプログラム」の中間評価でも最高ランク(Aランク)を受けており,その研究水準の高さはよく知られているところですが,チェルノブイリやカザフスタンをはじめとした世界各国の研究機関,さらにはWHOなどの国際機関も含めた放射線医療科学の世界的な研究ネットワークと,これに支えられた国際医療活動の展開実績が認められたことは改めて誠に喜ばしく思います。
 基礎的研究はもちろんのこと,現場で活動しながら,我々が創り上げてきた科学の成果で,必要としている人々に貢献することまで,すなわち人々の生活の場で,人々に密着した研究こそが私たち長崎大学の目指す研究の姿です。私たちが理念として掲げている「地球の平和を創造する科学」への挑戦とその実績が認められたと思っています。

 第二に,採択課題の領域が「学際・複合・新領域」であった点です。長崎大学は8つの学部,1つの研究所からなる総合大学ではありますが,大規模な国立総合大学とは異なり,文学部や法学部,また理学部といった基礎学問分野の学部をもっておらず,応用科学主体の学部・大学院の構成になっています。しかし私たちはこれをポジティブに捉え,既存の学問分野に捉われない新領域の創造を実践して,長崎という土地が伝統的にもっている絶え間ない「進取の精神」を大学でも育て上げることに挑戦してきました。長崎大学が掲げる理念「知の情報発信拠点」として,時代の先端を切り開く科学を創造し,世界に発信し続けていくことが,これからも長崎大学が進む道であると確信しています。この度の結果は,私たちが今後も進むべき道をさらに推進する源の一つとなるでしょう。
 今回は生命科学系が中心となった学際的研究が採択されましたが,日本学術振興会からの採択理由では「しかし,学際的視点から,社会科学的側面,物理化学的側面などを補強し,より強力な教育研究拠点となるための更なる工夫・検討が望まれる」という指摘を受けました。このことから私は,まだまだ挑戦しなければならないことが残っている,という気持ちを改めて持ったところです。近い将来設置予定の国際健康大学院(マスターコース)では人文社会科学的分野の充実を目指し,学部学生も受講可能とするなどを考えています。

 最後に,この研究の源流をたどれば,原爆の惨禍の中で被爆者への医療に尽力した先輩各位の姿があります。本学でも,長崎原爆では旧制長崎医科大学897名をはじめ,約1,000名にも及ぶ前身諸学校の学生・教職員が犠牲になりました。長崎大学は,市民の皆さんが原爆の惨禍から再び立ち上がる過程の中で共に生き,支え,支えられて育ってきました。今回の「グローバルCOEプログラム」採択課題は,まさに長崎の復興と発展とともに育ったものです。長崎の市民の皆様に対しまして感謝申し上げなければなりません。
 しかしながら,同時にそれが純粋な「喜び」になり得ないのも事実です。原爆の惨禍を知り,継承している長崎の大学だからこそ言い続け,行動し続けなければならない責務を私たちは自覚しています。長崎大学創基150年の今年,「グローバルCOEプログラム」の選定に際し,私たちは62年前のことを想起しながら,地域と世界へのさらなる貢献を再度決意したいと思います。

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