長崎大学グローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」
長崎大学
JAPANESE ENGLISH
活動 Activities
ホーム活動海外学会参加報告>長崎大学・サンクトペテルブルグ州立病院共催「細胞工学と再生医学に関する会議」報告
 
海外学会参加報告
 
 
長崎大学・サンクトペテルブルグ州立病院共催
「細胞工学と再生医学に関する会議」報告

長崎大学医学部・歯学部附属病院輸血部 長井一浩


 今回の会議は2007年9月24日にロシア共和国サンクトペテルブルグ市のサンクトペテルブルグ州立病院において開催された。同病院はベッド数600床の中核病院であり、外科、整形外科、創傷外科、耳鼻咽喉科、口腔外科、循環器科、循環器外科等の診療科および内視鏡・放射線診断部門を中心に構成されている。 同市にはサンクトペテルブルグ州立病院を拠点とした民間の幹細胞バンクシステム「ポロフスキー」が設立されており、幹細胞を用いた医療の研究開発を推進しようとしている。 
 今回の合同会議は、去る7月にサンクトペテルブルグ州立病院およびポロフスキーから本学への訪問を受けた事を端緒として、本領域の研究推進のための3者間の協調関係促進を目的として企画されたものである。会議は同病院のOtari Khurtsilava院長の開会宣言に続き、以下の発表が行われた。総合討論では各々の演題に対する熱心な討議が交わされ、特に秋田医師の発表にあったbFGFの効果に関する質問が多く、この領域に関する強い関心が感じられた。また、会議終了後も、折に触れ各演題に関するディスカッションが交わされ、またサンクトペテルブルグ州立病院における骨再生や循環器疾患に対する細胞移植等についての意見交換がなされた。
 サンクトペテルブルグ州立病院では、現在、ポロフスキーの活動と連動する検査設備を充実させつつある。このような動きの中で今回の会議は、日露の研究者にとって相互に大いなる刺激を与え合うものであったと確信している。今後は、幹細胞を用いた再生医療の研究開発分野において長崎大学との共同事業を展開することが重要な課題であり、これはわがグローバルCOEプログラムの目指す、被ばく医療学の確立にとって有益な戦略と成り得る。


 演題、発表者および発表概要
1.
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)および骨髄由来間葉系幹細胞を応用した再建外科治療法の新規開発と再生医療の応用
  秋田 定伯 (長崎大学)
多様な創傷に対するbFGFや骨髄細胞を応用した新しい再建治療方法の臨床例が提示され、bFGFおよび骨髄間葉系幹細胞の創傷治癒における生物学的意義を明らかにする基礎研究データが報告された。
   
2.
自家骨髄単核細胞移植による末梢血管閉塞性疾患に対する血管再生医療
  長井 一浩 (長崎大学)
現在本学で進行中の第1相臨床研究である、閉塞性動脈硬化症およびバージャー病患者を対象とした自家骨髄単核細胞移植治療の概要と成績および血管内皮前駆細胞に関するデータが報告された。
   
3.
同種造血幹細胞移植レシピエントにおけるドナー由来非造血細胞の存在
  宮崎 泰司 (長崎大学)
同種造血幹細胞移植後長期間を経ても移植レシピエント手指の爪にドナー由来のDNAが存在することが報告された。レシピエントにおいて非造血組織である爪にドナー由来の幹細胞(爪母細胞)の存在が示唆された。
   
4.
広範囲組織欠損に対する血管柄付遊離組織移植術を用いた再建
  藤岡 正樹 (国立病院機構長崎医療センター)
Cell technologiesによる様々な組織移植の臨床的技術応用の基礎として、現在行われている癌切除後や外傷後の広範囲組織欠損に対する血管柄付遊離組織移植術を用いた組織再建方法と臨床例を報告した。
   
5.
乳房再建について
  吉本 浩 (国立病院機構佐賀病院)
乳癌の治療により生じる乳房欠損や潰瘍形成は、患者に多大な肉体的・精神的喪失や負担をもたらす。これらを解消し社会生活の質の向上を目的として実施している、インプラントおよび自己組織による乳房再建の症例供覧と解説を行った。
   
6.
サンクトペテルブルグ州立病院における外科診療
  Elgudzha Latariya (サンクトペテルブルグ州立病院)
同病院における外科系診療科および内視鏡診断部門の診療実績について報告された。
   
7.
サンクトペテルブルグ・ポコロスカヤ病院における整形外科と外傷学−外傷患者に対する細胞工学の適用と展望−
  Alexander Savintsev (サンクトペテルブルグ州立病院)
外傷による骨折の難治症例に対する、自家骨髄単核細胞移植による骨再生治療の試みが紹介された。
   
8.
慢性骨髄炎に対する形成外科的再建治療
  Stanislav Linnik (サンクトペテルブルグ州立病院)
サンクトペテルブルグ州立病院における慢性骨髄炎に対する形成外科的再建治療の成績が報告された。
   
9.
心疾患に対する細胞工学的治療
  Alexander Smolyaninov (サンクトペテルブルグ州立病院)
虚血性心疾患に対するG-CSFや骨髄単核細胞を用いた新規治療法に関するデータが報告された。
   
10.
乳がん細胞の増殖と相互作用
  Alexander Dorosevich (サンクトペテルブルグ州立病院)
乳がん組織の免疫組織学的検討を通して、乳がん細胞と周囲に存在するリンパ球や線維芽細胞、血管内皮細胞等との相互作用を解析した結果が報告された。
 
home
ご挨拶
概要
組織
プロジェクト
国際放射線保健医療研究
原爆医療研究
放射線基礎生命科学研究
活動
セミナー
シンポジウム
ワークショップ・講演会
学術交流
e-Learning・遠隔教育
海外学会参加報告
WHOとの連携事業
出版
業績
人材募集
ニュース
一般の皆さまへ
放射線診療への不安に
お答えします。
放射能Q&A
プロジェクト紹介
(長崎大学広報紙)-PDF9MB
チェルノブイリ原発訪問記
大学院生 平良文亨
関連リンク
サイトマップ