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第78回アメリカ甲状腺学会総会が、2007年10月4−7日にアメリカニューヨーク市Sheraton
New York Hotel & Towersで開催された。ニューヨーク市のど真ん中にあるホテルであるが、非常に高い宿泊費にもかかわらず、築年数によるのであろう、エアコンはまともに作動せず、さらに深夜には部屋の中にネズミが出没する有様だった。原研からは、小生の他に山下・光武両先生が参加、長崎医療センター外科・前田先生の参加もみられた。
北アメリカの甲状腺専門家が集まる比較的小さい学会であるが、連日早朝のEarly
morning symposiumから夕方まで熱心な発表と議論が行われた。近年、この学会では、甲状腺がんの論文数が増え、自己免疫の論文が減少している。癌では、mBrafトランスジェニックマウス甲状腺での網羅的遺伝子発現解析、分子標的治療薬の臨床応用、種々の癌関連細胞内シグナル解析など興味深い論文が数多く見られた。しかし幹細胞のシンポジウムは、他臓器で幹細胞マーカー発現をRT-PCRで検討しただけの低調なものであった。自己免疫では、我々と同様の分子(TNF-related
apoptosis-inducing ligand; TRAIL、以下参照)を用いた自己免疫性甲状腺疾患の治療、単クローン性抗TSH受容体の単離などが目を引いた。
以下に小生のポスター発表の演題・概要を記す。
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永山雄二、中原麻美、刀根重信、阿比留教生
甲状腺における免疫制御性分子(TRAIL, IDO)発現は、NOD-H2h4マウスにおける自己免疫性甲状腺炎発症を抑制する。 |
自己免疫性甲状腺疾患の治療戦略として、異常な自己免疫反応を抑制するのではなく、自己免疫反応はそのままに、標的臓器である甲状腺を自己免疫の攻撃から防御するという治療法の可能性を探った。アデノウイルスを用いて免疫制御性分子であるTRAILとIDO
(indoleamine 2, 3-deoxygenase)を橋本病自然発症マウスであるNOD-H2h4マウス甲状腺に発現させると、抗サイログロブリン抗体価や脾臓でのサイトカイン発現の影響を及ぼすことなく、甲状腺炎の発症を抑制した。臓器特異的自己免疫疾患の1つの治療戦略として有用であることが示された。 |
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