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放射能Q&A - Q.17 A A
 
 
Q
17. チェルノブイリ原発事故後、子供の甲状腺がんが増えていると報道されていますが、どうしてがんが増えるのですか。
A
  小児甲状腺がんが急増し、住民への情報公開が必要です。
 

 ご存じの通り、1986年4月26日未明、人類史上最悪の原発事故がウクライナ国キエフ州のチェルノブイリで起きてから、10年以上になります。放射能による環境汚染と同時に、数百人の被ばく者が今も周辺汚染地域で生活しています。
 チェルノブイリ周辺の土壌汚染地図によると、ベラルーシではゴメリ州が最も汚染が高く、事故後移住した人々も含めて多くの小児甲状腺がん患者はここで発生しています。
 チェルノブイリ周辺では他の放射線障害の代表疾患である白血病などは増加していません。しかし、小児甲状腺がんがベラルーシ、ウクライナで著しく増加しています。過去8年間にゼロ歳から15歳の小児甲状腺がんはベラルーシ333例、ウクライナ264例、ブリヤンスクなどロシア40例が確認されています。


  大人の甲状腺がんも増加傾向があります。そこで、この増加が直接放射線被ばくによるものか否かが最大の焦点となります。
 長崎でも疫学調査の結果、外部被ばく後の甲状腺異常が増えていますが、首の所にある甲状腺は、放射線ヨードを取り込んで濃縮するため内部被ばくを受けやすいことも関係しています。
 甲状腺がんの「増加」の理由については、事故後、甲状腺に注目してスクリーニング(精査)が行われるようになったため、今まで見つからなかった潜在がんや微小がんも含めてその発見頻度が高まったという見解もあります。
 事実、事故前の正確な疫学データはなく、すぐには、放射線障害によってがんが増えたとは言い切れません。
 また、がんが被ばくによるものと断定することは、大変難しいのです。放射線が遺伝子異常を引き起こすのと同様に、ウイルスや紫外線、化学物質なども一個の細胞の遺伝子異常から異常細胞増殖すなわちがん化を起こすのです。細胞に傷を与えた後、がんが発生するまでには長い期間がかかりますから、因果関係を明確にはできません。
 長崎の被爆者の中にも、十年、二十年経過して慢性的な症状やがん(肺がん、乳がん、骨髄腫など)が発生する人がいます。これを「晩発性放射線障害」と言いますが、その症状が一般の成人病とほととんど変わらないので、原因が放射線にあるのかどうか、今のところ科学的にも証明ができないのです。唯一、疫学調査の結果を重視して判定しています。
 一般にがんの発生は種々のメカニズムで起こるので、発端となる遺伝子の傷が先天的なものか、また、後天的にどの影響によるものなのかを判定することは難しいのです。(参照 図
 現在の科学では生体の働きの中で「がん遺伝子」や「がん抑制遺伝子」、「がん免疫」などが上手に調整されていると、がんとしての症状がないのですが、そのバランスを放射線が崩すと、がん化への大きな要因となりえます。しかし、放射線による「がん」発生のメカニズムは、未だ不明な点が多いのです。
 チェルノブイリ関連情報は深刻な被害から軽微なものに至るまで、疾病頻度や内容についての真偽が放射線障害と確認されないまま、広く世界に流布されているのが現状です。その中で、小児甲状腺がんの激増は世界に類のないことで、チェルノブイリの原発事故によると言えます。
 長崎や広島の疫学調査の結果は、チェルノブイリ原発事故後の各種の病気の診断や治療に大きく役立っています。これからも「がん」そのものの正確な発生メカニズムについて、精力的な研究が必要です。
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