国内外の関連機関とともに、福島復興支援に役立つ
共同利用・共同研究拠点事業を推進しています。
1962年設立の原研は、原爆被爆者の医療と疫学研究から始まり旧ソ連の核実験やチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故の国際医療支援および福島第一原発事故への対応などに関与してきました。2016年からは広島大学、福島医大との協力関係を強化し「放射線災害・医科学研究拠点」のネットワークを形成しています。現在、原研には幅広い学術領域からの研究者が、国内外からの多くの大学院生と共に、ゲノムから細胞・組織、個体レベルの基礎医学、臨床医学、社会医学などの多岐にわたる研究を行っており、放射線治療や核医学、緊急被ばく医療、再生医療、希少疾患診断、甲状腺癌診療などの分野での探索的研究も推進されています。また、放射線リスクコミュニケーションなどの社会医学系の知見を活かした放射線関連の災害予防や安全対策に貢献できる教育プログラムの提供も目指しています。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、原研は核兵器廃絶の理想を掲げ、放射線災害予防やリスク管理の枠組みを構築し、国際社会での政策提言や人材育成にも取り組んでいます。同時に原研はPlanetary Healthの理念に基づき、放射線に関する諸問題について学際的なアプローチを採用し放射線に対する社会のあるべき最適な姿を模索しつつ、職員一同ミッションに当たってまいります。
原爆後障害医療研究所 所長中島 正洋